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三重県津市でヨガを教えています。ヨガのことだけでなく、日々のいろんなことを書いていきます。


by NAO
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『チョコレートコスモス』 恩田陸

私はもともと夜寝る前、読書をする習慣があった。ベッドの上でスタンドをつけて、眠くて意識を失うギリギリのところまで読んでそれから入眠する。

しかし結婚してそうもいかなくなった。夫は寝る前、音楽を聴く習慣がある。私は音楽が鳴っていると読書に集中できないし、夫は灯りがついていると眠りの邪魔になる。私の寝る前の読書タイムは引っ込めざるを得なくなった。

昨日は10時頃寝床に入り、ほんの数ページのつもりで読み始めたら、止まらない。夫はぐうぐう眠っていたくせに、12時頃急に「ぐうぐうぐう・・・電気消してもいい? 寝られへん」と言い出したので、イビキかいて熟睡してたくせに! とツッコミたいところだったがぐっと押さえて、私は本を持って居間に退散した。それから2時頃までかけて読破。

最高に夢中になれた4時間であった。これだけ楽しめて1600円は安い。

本のオビには「恩田陸が放つ、熱狂と陶酔の演劇ロマン」と書いてある。

この小説を読み始めた人は、ごく自然に『ガラスの仮面』を思い起こすだろう。若手で美人で実力のある生まれながらにして恵まれた環境にある人気女優と、自分の中の何かに突き動かされるようにして演劇を始めたばかりの地味で目立たない天才少女。これはそのまま『ガラスの仮面』の姫川亜弓と北島マヤである。おそらく作者もそれを踏まえてあえてこの小説を書いたのではないかと思う。
「本家」の『ガラスの仮面』が停滞したまま一向に新刊が発売されないので、私は小躍りしながらこの小説を読んでしまった次第である。小説の中でオリジナルや名作の演劇が上演され、それらの演劇と共に登場人物が成長しながらストーリーが進展して行く、という手法も『ガラスの仮面』的である。

この作品が今後どうなって行くか(当然、続編があるはずと思う、でないと困る)目が離せない。本作では恋愛の要素がまったくなかったが、今後は人気脚本家・神谷と、学生新人脚本家・巽との、天才少女飛鳥をめぐっての恋と創作がからみあったさや当てが繰り広げられることも想像される。

そして神谷が書き始める脚本『チョコレートコスモス』だが。
この劇中劇ならぬ小説中劇が面白くないことには話にならない(正直、『ガラスの仮面』内の『紅天女』は、あれだけ引っ張っておいて内容はイマイチのような気が・・・)。
果たして恩田陸に勝算はあるのか?
by wumingzhi | 2006-03-20 13:31 | 読書