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三重県津市でヨガを教えています。ヨガのことだけでなく、日々のいろんなことを書いていきます。


by NAO
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『いくつかの場面』

『いくつかの場面』_b0020550_2225443.jpgこのアルバムは先日夫が中古レコード屋めぐりをしたときに買ってきてもらったもの。LPではなくてCDである。

「時の過ぎゆくままに」が収録されている。そして「いくつかの場面」。私はスタジオ録音の「いくつかの場面」を聴いたことがなかった。ドームライブでも、先日の京都のコンサートでもジュリーは涙、涙。そしてなんと、75年のこの録音でもこの曲で泣いているのだ。スタジオ録音で泣き声になっている曲を聴いたのって、中島みゆき以来だよ私は!
2番のサビの「僕の周りに集まってきて」のあたりで声がガスガスとしてきて、「ああんっ、ジュリー泣いてる~(カワイッ)」て感じです。そうだよね、胸いっぱいになっちゃったんだよね。タイガースとかPYGのときのこととかを思い出したんでしょうね。ヨシヨシ。と言いたくなってしまう。この録音の後もっといろんなことが自分の身の上に起こって、多くの出会いと別れがあり、それでもずっとそばに居続けてくれた人たちがおり、そしてドームでこの歌を歌うことを、このとき泣きながら歌っていた27歳のジュリーは知るはずもない。

しかし今回書きたいのはこの曲のことではなくてですね! もっとスゴイ曲を発見してしまったのだ。

それは1曲目「時過ぎ」の次なる曲。「時過ぎ」はもうあんまりCDでは聴きたいとは思わないので飛ばしてですね、2曲目の「外は吹雪」。これが傑作だった。何がって。歌詞がもう。

今年の冬はきびしくって 君の自慢の腕が震えない」というフレーズが真っ先に耳に飛び込んでくる。
厳しい冬の寒さにも震えない自慢の腕ってどんな腕? プルプルの二の腕? とか思う暇もなく、
誕生日のテーブル 君の手料理」なあんだ、震えないじゃなくて振るえないかあ。

ストーリーとしては、「今年の冬は厳しくて 君は自慢の料理の腕も振るえない。誕生日なのに少ない皿数の料理が君の代わりにごめんなさいね、と言っている。君のせいじゃない、この冬が悪いんだ」という。

しかし、いくら冬が厳しいからと言って、料理とどう関係が? あんまり関係ないだろう。

この2人、去年の夏は人に揉まれ海水浴に行っている。そして「こんな冬が来るとは 誰も知らなかった」って。夏は暑い。冬は寒い。それが日本。知らなかったんですか、ほんとに?

イントロでは木枯らしが吹いて、思い切り寂しげで切なげなメロディー。ジュリーの声はさらりとして、体温を感じさせない。寒い冬に聴くとますます寒さが増すこと請け合い。
でもこの2人はもの哀しいメロディーに似つかわしくなくかなりラブラブなご様子で、「焼き林檎食べ終えたら すぐにも僕は 君を抱こうと思っている」んですってよ。いいですねえ! 焼きりんご。ジュリーの「焼きりんご」って言う言い方が素敵。「ん」と「ご」の間の伸ばし方が絶妙。すごく焼きりんごが食べたくなる。たとえ毒入りりんごでも・・・。

そして、最後のサビのところで、それまで体温を感じさせなかったジュリーがはじめて、ロックンローラー魂あふれさせて「外は吹雪ぃ―――やっ」とシャウト。その直後に井上尭之さんのカッコいいギターソロ。しかしこの「ふぶきぃ―――やっ」って、ここだけ100回繰り返して聴いても飽きないわあ、たぶん。

なんなんだろう、この歌詞。おもしろすぎる。作詞家は及川恒平。どんな人だろうと思って調べてみたら北海道旭川出身の人だった。そうか、冬は厳しいはずだ。雪に閉ざされて買出しに行けず、彼氏の誕生日だというのに自慢の料理の腕も振るえず。予約していたバースディケーキも取りにいけなくなって(想像)、廊下のダンボールの中に転がっていた(想像)りんごで焼きりんごを作る。なあんだ、可愛いストーリーじゃないの。初めからそう言ってくださいよ。

4曲目「人待ち顔」もおもしろい。曲調や言葉遣いがどことなく「コバルトの季節の中で」とか、キャンディーズの曲を思い出させるですます調。極めつけは「音楽はとっても静かですし」。ですし、っていうような歌詞、最近ほとんど耳にすることがないですし。
サビの「誰もやっては来ませんよ」も、繰り返されるとなんだか妖しげな呪文のように聴こえるのはジュリー・マジックか?
これも作詞は及川恒平。

6曲目「U.F.O.」。これも変。ちょっぴりおごそかで、でもわりときれいなメロディの曲だなと思っていると、いきなり男声のコーラス(シャウト)で、「見よ!(私、最初「ユーフォー」って言ってるのだと思ってた)あの空 U.F.O.の隊列 飛べ! おまえも U.F.O.の隊列」。
う~ん、変な曲だ。これも作詞は・・・及川恒平。私、この人の詞がもしかしてツボなのかな?

それにしてもピンクレディーのU.F.O.以前にこんな曲をジュリーが歌っていたなんて。阿久悠先生はこの曲にインスパイアされてあの詞を書いたのだろうか? なわけないか。いずれにしろ、阿久悠さん自身が最も気に入っている自作詞として挙げている「時過ぎ」と同じアルバムにこれが収録されているというのも面白い偶然だ。

いやあ、おもしろいですこのアルバム。私は歌は21世紀のジュリーが好きで、70年代~80年代半ばまでのジュリー作品はベストでいいやと思っていたが、アルバムをじっくり聴いていくと目からウロコの発見がある。これからジュリーの古い作品もアルバム単位で丁寧に聴いていきたい。なかなかそこまで到達できないかもしれないが。
by wumingzhi | 2009-07-25 21:27 | Julie